本を整理していて柴田隆二氏の追悼文を新聞に書いて下さった小長谷静夫さんの詩をみる
今頃になって隆二氏の純粋さと仕事の多さにきずく
只今モホリナジイ展(葉山美術館)では日本の写真家では彼のみビジョインモーションに載っている
小長谷氏はほんとうに真実を見ていた方なのだと思う
お会いしたかったものだ
この詩集のあとがきには写真家の柴田隆二さんには前衛的な写真を、詩人の杉山高之さんには・・・・・略
最後に そして 妻にと書いてあった
奥様の出された本もみたいと思う
1964年作
習作・16の小さな歌より
お ち て く る
しんと晴れた若い空の高みから
射たれたつぐみは おちてくる
そうだ
あれは おちてくる
あてもなく羽ばたいた
おろかなくらしの日びを
ひき裂いて 耳をおさえておちてくる
はじめて
ぼくの若枝が
眼を地にたれて肩が空をゆするとき
射たれておちるつぐみのように
指を耳にあてがいながら
そうだ
あれは おちてくる
あ る 日
ある日 金魚が死にました
死は
おさかなを浮かばせて
ある日 小鳥が死にました
死は
小鳥のからだを地面におとし
その重さ
その軽さ
その静かなる世界の軽さと重さ
頭のそとのそのお友だち
頭のなかの小鳥と金魚
世界をひき裂く やさしいちから
私を
ひき裂く
あやしいちから